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【論語と婚活 Vol.20】 「怒りではなく、憂いを見るまなざしを──静かに向き合う婚活」

【論語と婚活 Vol.20】 「怒りではなく、憂いを見るまなざしを──静かに向き合う婚活」

「怒りではなく、憂いを見るまなざしを──静かに向き合う婚活」

■ はじめに:婚活の場に見られる“怒り”

婚活の現場では、ときに強い言葉や感情が交わされる場面があります。

「返信が遅い」「常識がない」「この条件で申し込んでくるなんて…」

そんな言葉の奥には、怒りや苛立ち、
あるいは傷つきやすい心が潜んでいるように見えます。

けれど、人とのご縁は、
怒りではなく、“静かなまなざし”から育まれるものではないでしょうか。

■ 論語の教え:まず自分を見つめる

孔子はこう語ります。

「子曰わく、人の己を知らざるを患えず、己の人を知らざるを患う」(学而第一)
人が自分を理解してくれないことを嘆くのではなく、
自分が人を理解できていないことを憂えよ。

婚活でも、相手の言動に腹を立てたり、
評価を下したくなることがあります。

でもそこで一歩立ち止まり、
「自分はどう受け取っているか?」と内側を見つめることが、
穏やかな関係を築く第一歩となるのです。

■ 白隠禅師の言葉:「君看よ双眼のいろ」

江戸中期の禅僧・白隠禅師は、こんな言葉を遺しました。

「君看よ双眼のいろ 語らざれば憂い無きに似たり」

あなたは、その人の目を見ていますか?
たとえ言葉には出さなくても、
その目には、その人の想い・哀しみ・願いが映っています。

表情だけではわからない“心の背景”に想像力を持つこと。
それが、怒りではなく「憂いを見る眼差し」です。


相田みつをもこの言葉から次のように詩を読んでいます。
「澄んだ眼の底にある
 ふかい憂いのわかる人間になろう」(「憂い」より)


相手の言葉や行動は、そこに至るなにかがあるかもしれません。
それをただ怒りだけで評価するのではなく、
深いところに思いを寄せる眼もやはり大切ではないかと感じます。

■ 評価よりも、まなざしを

人は誰しも、心に余裕がないとき、
相手を条件や言動で「評価」しがちです。

けれど、評価を重ねるほど、
ご縁は遠ざかってしまう。

大切なのは、相手の言動の裏にある「その人の物語」を想像すること。
たとえば──

・無愛想な返信の裏にある、緊張や不安

・条件に合わない申し込みの裏にある、思い切った一歩

・沈黙の奥にある、傷つくことへの恐れ

怒りを向ける代わりに、
まなざしを向けること。
それが、人との距離を近づける力になります。

■ まとめ:怒りの奥にある、自分の心と向き合う

婚活は、思い通りにならないことの連続です。
でもそのたびに、
「相手が悪い」と外に向けるのではなく、
「私は何を感じているのか」「本当はどうしたかったのか」と、
内に静かに問いかけてみてください。

怒りを持たないことが正しいのではありません。
怒りの奥にある「憂い」や「期待」や「寂しさ」に気づくことが、
あなた自身を深め、ご縁と向き合う力になります。

どうか今日も、
評価ではなく、まなざしで、
一つひとつの出会いを見つめていけますように。




■ 次回予告

「真剣に向き合うことで、真剣なご縁が生まれる」

婚活は、“なんとなく”では進みません。

本気で探す人にこそ、本気のご縁が訪れる

次回は、論語の「志を立てて道とす」「吾日三省吾身」の教えをもとに、
初心にかえって婚活に向き合うことの大切さを考えていきます。