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【論語と婚活 Vol.19】 「敬天愛人」──自分を愛するように、相手と向き合う婚活

【論語と婚活 Vol.19】 「敬天愛人」──自分を愛するように、相手と向き合う婚活

「敬天愛人」──自分を愛するように、相手と向き合う婚活

■ はじめに

「婚活に疲れてしまった」
「良い人がいても、心がついてこない」
そんな声を聞くことがあります。

相手を探すことに夢中になるほど、
自分の心が置き去りになってしまうこともある――

そんなとき、私たちにヒントをくれるのが、
西郷隆盛の座右の銘「敬天愛人(けいてんあいじん)」です。

■ 「敬天愛人」の意味

「敬天愛人」とは、
「天(自然・真理)を敬い、人を愛する」という言葉。

その核心は、西郷が残したこの一節にあります

「天は人も我も同一に愛したまう。されば我を愛する心を以て人を愛する也」

天(自然・宇宙の摂理)は、自分も他人も分け隔てなく愛している。
だからこそ、“自分を大切にするように、他人をも大切にせよ”というのが、西郷の言葉の真意です。

■ 婚活は“選ぶ”のではなく“関わる”営み

婚活では、どうしても「自分に合う人かどうか」を軸に相手を選びがちです。
でも、その背景には、こんな問いがあるはずです。

「この人と、人生を一緒に歩めるか?」
「この人を、大切にできるか?」

つまり婚活とは、“愛される”ことだけでなく、“愛する”ことも問われる活動なのです。

■ 自分を大切にできる人が、人を大切にできる

西郷の言葉には、こうした含意もあります

「我を愛する心を以て人を愛する」

つまり、自分の弱さも、過去も、未熟さも受け入れている人は、
相手にも優しく、誠実に関われるのです。

自分を認めるから、相手を尊重できる

自分を責めないから、相手も責めない

自分を信じるから、相手も信じられる

ご縁を育てるとは、自他の境をなくしていくプロセスでもあります。

■ 愛するとは、“対等に見つめる”こと

婚活が「条件」で判断されることに、心が疲れてしまうのは、
そこに“上下”の目線が生まれてしまうからかもしれません。

でも、「敬天愛人」は私たちにこう問いかけます。

「相手を、“自分と同じように尊い存在”として見ているか?」

愛するとは、誰かに尽くすことではなく、
“相手を対等に、まっすぐ見つめること”なのかもしれません。

■ まとめ:自分を愛するように、誰かと向き合う

婚活の本質とは、
「自分に合う人を探すこと」ではなく、
「自分のように誰かを愛すること」です。

「敬天愛人」──
自分と相手を同じように尊重し、心から関わる。

そんな姿勢を持てたとき、
ご縁はただの出会いではなく、人生の信頼へと育っていくのかもしれません。




■ 次回予告

「怒りではなく、憂いを見るまなざしを──静かに向き合う婚活」

婚活の場では、すれ違いや小さな出来事から怒りが芽生えてしまうこともあります。
けれど、論語や白隠禅師の教えは、
「怒りよりも、自らを省みて相手の“憂い”に目を向けよ」と語ります。
次回は、評価ではなく“まなざし”でご縁と向き合う姿勢について考えていきます。